私たちの住む地球は、数え切れない生命とそのつながりによって、大気や水や土壌が形成され、次の時代の生命は、その前の時代の生命が創り上げた環境の上で進化する、ということを繰り返してきました。
その間、様々な環境の変化が起こり、適応できなかった種が絶滅するとともに多くの種が生まれ、現在の3,000万種ともいわれる生命とそのつながりを創り上げてきたと言えます。
私たちの周りにある生物多様性は、46億年という地球の長い歴史の中で育まれてきた、かけがえのないものなのです。
奄美大島は鹿児島から南に380キロ、沖縄から北に300キロの場所にある島で、沖縄本島、佐渡島の次に大きな島です。島の西側は東シナ海、東側は太平洋です。亜熱帯性の気候に属し、世界的にも例を見ない広大な常緑広葉樹林が発達しています。
亜熱帯雨林のジャングルが広がる自然の宝庫-奄美は、地球上でこの場所でしか見ることのできない固有種や固有亜種、また絶滅の危機に瀕している野生の動植物 が数多く生育・生息しています。
特に、他の地域から隔離された歴史が長いため、日本本土やユーラシア大陸の大部分では、すでに絶滅し奄美群島だけに残った「遺存固有種」をいくつも見ることができます。
これらの中には、IUCN (国際自然保護連合)や環境省のレッドリストに掲載された国際的希少種が多く含まれており、例えば、国特別天然記念物で生きた化石とも称される、一属一種のアマミノクロウサギは近縁の種が他に存在しません。
また、奄美群島を含む南西諸島は、ウミガメ類・海鳥類の繁殖地、渡り鳥の中継地など、広域を移動する種群を維持する上でも重要な地域となっています。
今日、これらの希少な動植物たちの多くが、生息環境の変化や移入種の影響などにより、絶滅の危機に瀕していま す。
このサイトは、世界自然遺産の候補地ともなっている奄美の特徴的な自然について、<森・川・マングローブ・里山・海>という奄美の自然のつながり合いと、そこに生息する希少な動植物を紹介すると共に、奄美の人々が古くから自然と共生してきた伝統的な暮らしと文化、生活の姿などを交え、「生物多様性=命のつながり」の大切さを、ムービーやずかん(図鑑)を通じて子どもたちにも分かりやすく解説することを目的に制作しました。
奄美に関わる環境学習及び体験学習の事前ガイダンスや事後学習に資するほか、「生物多様性」についての環境学習教材として、あるいは持続可能な開発のための教育教材として、自由に活用して頂ければと願っています。
学校をはじめ、子ども達の教育活動を行っている全国各地の博物館や環境学習施設、児童センターや視聴覚センターなどにおいて、ESDや環境教育についての教材としてご利用頂き、体験、観察、学習等の活動促進にお役立てください。