マングローブの様々な用途 | |
・熱帯の沿岸域で、魚介類の生育を助けているのは、マングローブ林なのです。マングローブ林が失われ、そのことでマングローブが作り上げている生態系が失われてしまうと、多くの海の生き物を育んでいた熱帯の沿岸域から魚介類がいなくなってしまいます。東南アジア諸国などでは、マングローブがもたらす環境が漁業や林業の基盤になっているため、マングローブ林は熱帯の沿岸域の生き物たちだけでなく、人々の暮しにとっても重要な存在なのです。
・マングローブは満潮になると海水に浸ってしまう場所に生育するため、種類によっては腐りにくい丈夫な木材になります。こうした性質から熱帯の沿岸域においては、長持ちする家の柱や舟の材料として利用しています。
・また火力の強い炭になるため、電気やガスを利用できない地域の人々にとっては、燃料として欠かすことができません。マングローブ林を利用して生活している人々は、それぞれの木がどんな性質で、どのように用いると良いのかを知っています。
・たとえば布や舟の帆をマングローブで染めると強さが増すため、太平洋地域のフィジー、トンガなどでは、儀式に欠かせない木の繊維を使った布状のタパを染めるのにも、マングローブの樹皮を使っています。
・人々の生活と身近な森林を「里山」と呼んでいますが、マングローブ林は、熱帯の沿岸域に住む人々の日常生活と密接にかかわっているのですから、「海の里山」と言うことができます。したがって「海の里山」であるマングローブの再生と保全は、熱帯の沿岸に住む人々の生活を守ることにもつながります。